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愛なき道

オリジナル小説「二人の戦女神」と「リリカルなのはシリーズ」の二次創作を中心に活動中

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二人の戦女神第十八話  

 明け方のフェスタリア国領のヘリーシャム近郊にある、“森”だった場所――
 燃えつきた木々から白い煙が立ち上っていた。そこには多くのパルハーミエ兵と思われる兵士の焼け焦げた遺体が文字通り転がっていた。つい先ほどまで、パルハーミエ国とフェスタリア国の激しい戦いが、このヘリーシャム城より北西に位置する“森だった場所”で行われていた。いや、激しい戦いというには語弊があるか。この明け方に行われた戦いは、フェスタリア国の一方的な勝利で幕を閉じたのだから。
 その一方的な勝利の立役者である人物が、多くの兵士の亡骸が倒れている森だった場所の道を歩いていた。彼女は背中まで伸ばした黒髪を風で揺らし、こちらの世界では珍しいと言える白を基調とした衣装――現代日本に住む人間がいたら、弓道で使用する袴と分かっただろう――を着ていた。その表情は勝利の余韻とは程遠く、まるで体調が悪いと思われてもおかしくないぐらい真っ青だった。
 彼女の名は岸野夕華。“現代日本”より“こちらの世界”へ迷い込んでしまった高校二年生だ。紆余曲折の後、フェスタリア国のメイドとして仕えていたが、今回の戦いでは作戦を立案し、実行させた人物だ。夕華にとってこの戦いは初陣だった。決して軽い気持ちで戦いに挑んだ訳ではない。今自分の居る場所を、そして仕えている主であり、“こちらの世界”で初めてできた友達の故郷を護りたい。その思いを胸に、自分の持つ知識をすべて使った。その結果がこの残虐な光景を生んだ。彼女にとってその光景は、まるで彼女が“こちらの世界で辿り着いた最初の村で見た光景”と重なって見えてしまった。

「……ごめんなさい」

 小さく呟く夕華の瞳からは大粒の涙が、ひとつふたつと零れ落ちる。多くの兵士達の命を自分の考えたと言える策で奪った事への罪悪感に苛まれていた。自分の手で直接ではなく、間接的ではあるが、人の命を奪っってしまった。罪悪感に苛まれない人間がどこにいようか。しかもこれが初陣となれば尚更の事。今の彼女にとってその罪はあまりにも重くのしかかり、その重さに耐えられずに今にも潰れてしまいそうだった。

「ユウカ!」

 その時、彼女の後ろから名を呼ぶ人間がいた。その声の主は彼女、岸野夕華が仕えている人物であり、友であるフェスタリア国の若き王、セレナ=フェスタリー=フランツィスカ。その人だった。セレナは走って夕華の居る場所まで来て、夕華が泣いている事に気付いた。どうしたと彼女が言う前に夕華がセレナの胸に顔を埋めてしまった。セレナは驚いたと同時に、優しく夕華の体を抱きしめる。

「セレナ、私……私……」

 泣きながら掠れた声で何かを訴えようとする夕華。セレナは右手で夕華の頭を優しく撫でなでる。何があったかはすぐに理解した。夕華がこの光景を見て敵兵の事を思って泣いているという事を。それと、自分が命を奪ったという事を。

「大丈夫じゃ……妾が傍におる」

 何が大丈夫なのかは分からないセレナ。だが、今はそう言わざるを得なかった。いや、そうとしか言えなかった。夕華がどうしてここにいるのか。どうして“決闘”で着ていた衣装に身を包んでいるのか。セレナの胸中は疑問ばかり浮かんでいたが、今の夕華にそれを聞くのは、夕華にとって負担になるだろうと判断して黙って夕華が落ち着くのを待つ事にしたセレナ。
 ただ、周囲を見て何をしたかは大体把握したつもりだった。火計を用いた――それだけは分かったが、戦力の少ないヘリーシャムの兵でどうやってパルハーミエ国の兵と対等――いや、圧倒的に勝てたのかが分からなかった。自分が率いてきた援軍は今来たばかりだ。その前に戦いは終わっていた。戦力差のある状況で彼女、夕華はフェスタリア国を勝利に導いたのか――



二人の戦女神
第十八話「戦いの始まりと終わり、そして傷心のメイド」




 それは戦いの火蓋が落とされる数時間前。月と星が輝く夜。ヘリーシャム城内は騒がしくなってきていた。それもそのはず。パルハーミエの軍勢がヘリーシャム城へと向かって来ており、その迎撃に向かう為の準備に多くの兵士が動いていた。戦力に差がある為、勝てる見込みはほとんどないというのが現状だ。
 パルハーミエ軍の兵は約五千。一方で自軍であるヘリーシャムの兵力は二千。二千と言っても全員がパルハーミエ軍の迎撃に出陣できるかと言えばそうではない。最悪の事態も考えて、城の守備兵を五百は城に残しておく必要がある。となると、千五百でパルハーミエ軍の五千と対峙しなければならない。

 だが、どうしてだろうか。ヘリーシャム城の兵士達に絶望に似た感情は見られない。首都から援軍がこちらへ向かっているからか。それとも、今回の戦いで指揮を執るのが、針が立っているかのようなツンツンに立った赤髪が特徴的なルーカウス=エーベルハルドだからなのか。ただ、緊張感は確かに伝わってくる。これから戦場に赴くのだ。当たり前と言えば当たり前か。その緊張感を持っている兵士達のほとんどはこう思っていた。


「自分達の仕事は時間を稼ぐ事」であると――


 兵力で劣る自分達が出来るのは援軍が来るまでの時間を稼ぐ事。そう思うのは自然の事か。多くの兵士達がそのような考えに至るには、主であるセレナ=フェスタリー=フランツィスカへの強い忠誠心が影響しているのだろう。
 フェスタリア国の王となってまだ数カ月とはいえ、それまで王女として立ち振る舞ってきたセレナ。兵士やメイドへの気配り、また民の生活を改善する為にはどうすればいいか。兵士達から意見を聞いて取り入れようとする姿を目の当たりにすれば、自然と忠誠心は高まるという物。セレナが打算的にそのような行動を取っていたら、忠誠心は高まるどころか、下手な反発を招いていた事だろう。セレナの人柄、そして王に相応しき者としての立ち振る舞い。それが兵士達の忠誠心を高める結果となっていたとは、本人も気付いていない。

 しかし、戦いで時間を稼ぐには策が必要である。無闇矢鱈(むやみやたら)に攻撃を仕掛けても、兵力差であっという間に負けてしまうからだ。しかしながら、現在のヘリーシャム城には将軍のルーカウスしかいない。このルーカウス、戦略を立てる事を苦手としており、戦場では直感で今まで生きてきたと言っても過言ではない将軍だ。
 だからこそ、今回の戦いはかなり押されるのが誰もが思っており、自軍が援軍無しで勝利するなど誰が思うだろうか。そんな中、今回の戦いで主要人物だけを集めて行った会議を行った部屋に、一人の少女、岸野夕華が右手を顎に当てて難しい表情を浮かべて地図を睨んでいた。
 夕華は先程まで着ていたメイド服から自分が“こちらの世界”にやってきた時に荷物と一緒に入っていた白を基調とした弓道でしようする袴に着替えていた。着替えた理由は、メイドが軍の指揮をしているとなれば、兵士達の士気に悪影響を与える恐れがあると判断しての事だった。

 今回、夕華が提案した策はとある軍師が用いた策を流用したものだった。現代日本にいた頃、歴史好きから様々な戦いの策についての本を読んできた夕華。その知識から振り絞って策を提案し、その策でパルハーミエの軍勢と戦う事が決まった。それを最終的に決めたのは今、夕華の隣で訝しげな表情を浮かべて夕華を見ているルーカウス将軍だった。

「ユウカちゃん。難しい顔してどうしたってんだい?可愛い顔が台無しだなあ」

「か、可愛いですか……。それはいいとしてルーカウス将軍。そろそろ持ち場に行っていただかないと作戦に支障が……」

 苦笑いを浮かべながらルーカウスに指示を出す夕華。その体は小さく震えている事にルーカウスは気付いた。先程までメイドだった夕華が、この戦いで軍師として初陣を迎える事になったのだ。しかも心の準備などする間もなく――だ。それを考えれば、誰もが不安になるのは当たり前の事だ。
 しかし、先程からルーカウスは気になっている事があった。それは夕華の服だ。先程までメイド服姿だったというのに、今は自分と一騎打ちという名の弓勝負をした時に着ていた、ルーカウスがその時まで見た事の無い白い服に夕華は着替えていた。それが意味する事を考えるも明確な答えが見つからないルーカウス。本人に聞きたくても、そういう状況ではない事は理解しているのか、立ち上がると夕華に

「ユウカちゃん。そんなに緊張しなくたっていいんだぜ?戦うのは俺達のような兵士や将軍の仕事だからさ」

「ええ、分かっているつもりなのですが……でも……」

「『でも』……なんだい?」

 夕華の発言に首を傾げるルーカウス。一体何に対して夕華は緊張しているというのだろうかという疑問がルーカウス。そのルーカウスの疑問に気付いたのか、夕華は苦笑いに似た表情を浮かべて口を開いた。

「緊張というより、私の策で人を殺すという事が怖いんですよ。ルーカウス将軍……」

 なるほどなとルーカウスは心の中で頷いた。夕華にとってこれが初陣。しかもつい先ほどまでメイドとして働いていたのだ。いや、夕華の状態を考えれば、メイドとして働いていたというのは語弊がある。この場所――ヘリーシャム城――には休暇で来ていた夕華。しかもそれは、王であるセレナを助けた為に受けた傷が癒えるまでの休暇だったのだ。戦場とは全く関係の無いはずの場所、地位で戦場に立つのだから不安と恐怖が付きまとうのは必然である。
 それに、今まで人を殺してきた事が無いとなれば、人を殺すという事に躊躇いや様々な感情が生まれるというもの。ルーカウスは生きる為に何十、何百という人間をこの世から消してきた。それが賊討伐の為だったり、今回のように国を守る為だったりした。だが、戦場に出た当初は人を殺すという事に躊躇いがあった。
 相手にも愛する恋人や家族がいる。その事を考えた時、相手への攻撃が鈍った。だがそれが命取りになる事は分かっていた。だがそれでも躊躇いから剣が鈍った。そしていつしか、人を殺す事への躊躇いを隠すかのように馬鹿な言動を取るようになった。

(まあ、俺のような人間にユウカちゃんはなって欲しくは無いんだけどな……割り切らないといつか潰れるぞ?)

 敢えて口には出さないルーカウス。人を殺す事への躊躇いは自分でどうにかして踏ん切りをつけなければならない。誰かに答えを出してもらうなんて出来ない事なのだから。そうルーカウスが考えていると夕華が地図から視線を上げて、若干不安が残る表情でルーカウスの方を見て口を開いた。

「そろそろ頃合いですね。行きましょう戦場へ――」




 同時刻。ヘリーシャム近郊の森――

 そこにはパルハーミエ国の兵、五千人がもうじき日付が変わる時刻になるにも関わらず進軍していた。五千の兵を引き連れている将軍、アーウィン=クラウディアは予定以上に進軍予定が遅れた事に頭を悩ませていた。本来ならば、既に野営予定場所に到着して、明日の戦いに備えて休むはずだった。だが、想定以上に山を下るのが厳しかった。
 兵数も影響しているが、予想以上に山道が狭く、五千もの兵士が一気に行軍出来る道ではなかったからだ。行軍に対して多少の焦りがあるアーウィン。だが、戦いについてはそんなに焦りというものを持ってはいなかった。冷静に分析すれば、この戦力で正面から戦えばフェスタリア軍など自軍が負けるような相手ではないからだ。

(ただ……)

 一つだけ不安があるとすれば奇襲攻撃だ。アーウィンは既にフェスタリア国ヘリーシャム城へ使者を送り、宣戦布告を済ませている。それを受けてフェスタリア軍が先手を打ってくるような事があればこちら側は完全に後手に回る。行軍での兵士達の疲労の蓄積というのに不安が残る。だが、フェスタリアにはまともな参謀がいないというのは前情報として入手しているアーウィン。奇襲をかけてこられてもそんなに慌てる必要はないと考えていた。その考えが甘かったとアーウィンが後に認識する事になるのだが、今はその事を知る術が無い。

「アーウィン将軍。フェスタリア国に対して五千ではやや不足かと思うのですが」

 アーウィンの隣に並んで馬に乗って移動している今回の戦いで副将として参戦している、ブロンズの髪を短く切りそろえたその綺麗な顔から国内の女性に人気がある青年、イーシャス=ドロールが口を開いた。イーシャスは今年二十三歳になったばかりのまだ若い将軍だ。今回は王の指示で副将として参戦している。それは経験を積ませるという事だろうとアーウィンは勝手に思っていた。

「確かに兵士数は多いと言えば多いが、攻城戦としては少ないな」

「そうですよね。ヘリーシャム城の兵数は二千と聞いております。五千の兵で攻めるにしては、ヘリーシャム城を本気で取りに行く訳ではないようですし」

「む……どうしてそう思う、イーシャス」

 今回攻め込む理由について、アーウィンはパルハーミエ国の王ラウルから聞いてはいない。だが、領土拡大の為というのは無いと判断している。もしそうならば、副将にイーシャスのような若手をつける真似をラウルがする訳が無い。領土を奪いに行くとなれば、ラウルの性格上自ら出陣するに違いないからだ。

「アーウィン将軍、言うのもなんですが……王のあの性格を考えれば、必然と出てくる答えかと」

「言うなイーシャス。……私とてあの方に何度も振り回されてきているのだ。分かっているつもりだ」

 深々と溜息を吐くアーウィン。ラウルの思いつきによる戦いは今回だけではない。アーウィンが覚えているだけでも五回ほどある。アーウィンが出陣したのはその五回のうち三回だ。フェスタリアには今回が初だが、帝国相手に三回も攻め込んだのには流石に国家存続の危機すら覚えたアーウィン。小競り合いだけで終わったのが奇跡であると未だに思っているぐらいだった。無論、帝国からは小競り合いで受けた被害への賠償請求を受けた。が、ラウルが払う訳が無いのは向こうも分かっているようで、形式的に賠償請求をしたまでだった。

「本気で城を取りに行くとなれば、兵士数も一万は欲しいですし、こんな山を通らずに広い道を通るべきかと思います」

「そうだな。これでは奇襲をかけて下さいと言っているようなものだな」

 改めて今通っている森の中を見渡すアーウィン。狭い道に視界を遮るように立ち並ぶ木々。さらに時間帯は月と星々が輝く時間だ。相手の姿を己の目で発見する事は容易ではない。それこそ夜目が利く人間がいればまた話しは違うだろうが、そうそう夜目が利く人間など軍にいる訳が無い。

「奇襲への警戒はさせてはいますが、その警戒がどこまで通用するか……」

 と、心配そうなイーシャス。イーシャスにとって今回の戦いは初陣という訳ではないが、初めて副将として参戦している。その為からか、アーウィンから見ればかなり緊張しているようだった。アーウィンは自分もイーシャスとぐらいの頃はそうだったなと思いつつイーシャスの緊張をほぐす為に口を開いた。

「イーシャス。そこまで心配しなくてもいい。相手はフェスタリア国だぞ?軍師など碌にいない国だ。そこまで頭が働くような奴がいるとは思えぬ。まあ、警戒をするに越した事は無いがな」

「そうですね。フェスタリアに軍師はいないのでしたね。これは失礼を……」

「気にするな。イーシャス。お前は副将として当たり前の事をしているだけだ。そこまで気にする必要はない」

 前を向きながら、相手の戦力について考えている若手に頼もしいと思うアーウィン。アーウィンはまだ三十七歳だ。前線で十分に戦える年齢ではあるが、パルハーミエ国内で若手の将軍で名前が挙がるのは隣にいるイーシャスだけというのが現状だ。このイーシャスも経験が豊富かと言えばそうではない。“負け戦”というものを知らないのだ。

(まさかな……)

 五千もの兵を犠牲にしてイーシャスに負け戦の経験をさせるつもりか――とアーウィンは考えたが、フェスタリア国相手なら最悪でも分けて終えられるはずだ。そもそもアーウィンは、フェスタリア国は籠城作戦に出ると読んでいた。援軍の到着を待って反撃に出る。それの前に退却をすればいい。そう考えていた矢先だった。

「ひ、火だ!!!」

「も、森が燃えている!?」

 背後の方が騒々しくなったと思った途端、木々が炎で燃える匂いがアーウィン達の鼻をついた。後ろを見れば森が赤く燃えていた。

「奇襲か?」

 その炎を見たアーウィンは冷静に近くにいる兵士に問う。兵士は首を振り、相手の姿がない事を伝える。しかし、このタイミングで火の手が上がるという事は人の手によるものだと考えざるを得ない。

「イーシャス全軍にそのまま前進するように伝えよ!」

「はっ!」

 すぐさまイーシャスに指示を出すアーウィン。これがフェスタリア国の奇襲と考えればいい判断だと相手を心の中で褒めるアーウィン。相手が奇襲をしかけるという事は、自分達が兵力で劣っているのを認識しているという事だからだ。
 今回、アーウィンは前進するよう指示を出した。他の将軍ならば撤退と指示を出していただろう。だが、火の手が上がった方向へ下がるというのはかなり危険がある。兵士達が火を怖がり、士気が低下する恐れがあるのが一つ。もう一つが罠が仕掛けられている恐れだ。士気が低下した状態で罠があれば軍は恐慌状態に陥ってしまう。アーウィンは恐慌状態に陥った軍がどうなるか経験している。そしてもう一つ――

「アーウィン将軍、どうして前進の指示を?」

 横を走るイーシャスがアーウィンに問う。普通ならば撤退が頭を過る。しかしアーウィンは撤退をしなかった。その事に疑問を持ったのだろう。

「イーシャス。この場合、戻るという選択は兵の士気に影響を及ぼす恐れがある。相手が火計を使用し我々が来た道を戻る――つまり撤退をしたとしてだ、間違いなく相手はそこに伏兵を配置しているはずだ」

「なるほど……それで前進と?」

 納得した表情を浮かべるイーシャス。自分ならそこまで判断できずに撤退と指示を出していたに違いないと思うと、やはりアーウィンは知将と呼ばれているだけあると改めて認識した。

「それだけではない。火と言うのは人間にとって恐ろしいものだ。我々の生活に欠かせない道具ではあるが、一度勢い付けば我々を燃やしつくすほどの力になる。その火の中に飛び込めと言っても、兵士達は怖気づくだろう」

「そ、そこまで判断されていたとは……恐れ入りました」

 火の手が上がってからそこまでに至るまでのアーウィンの思考に敬服するイーシャス。そこまで自分は判断できるようにならなければならないと、心の中で新たに決意しつつ隣を馬で並走する。その時、前を走っていた護衛の兵士達の姿が“文字通り消えた”。

「なっ!?」

 慌てて手綱を引いて馬を止めるアーウィンとイーシャス。消えた護衛の兵士達を探そうとして呻き声が聞こえた。

「落とし穴だと!?」

 驚きの声を上げたのはアーウィンだった。まさか落とし穴が設置されているとは誰が思おうか。しかも森の中の道だ。闇で前など見えない状態で駆けていれば落ちる可能性は必然と高くなる。フェスタリアの策なのかまだ分からないが、このまま前に進むべきか悩む所であった。だが、火の手は近づいてきている。このままでは火に全軍包み込まれてしまう恐れがある。

「イーシャス……」

「はっ」

 唇を噛み締めていたアーウィンは静かに口を開いた。緊迫した状況。イーシャスもこのままでは全滅の恐れがあるのは理解しており、アーウィンの指示を待った。アーウィンの下した決断はあまりにも冷酷と言えるものだった。

「罠が仕掛けてあるという事は、この先は相手の兵は手薄だという事だ。歩兵部隊を前にし、進軍させよ」

「なっ……あ、アーウィン将軍、そ、それでは」

 アーウィンの指示に絶句するイーシャス。歩兵部隊を犠牲にして進軍するという事をアーウィンが言ったからだ。確かに現状を考えればそれが最善の手なのかもしれない。だが、兵士達がそれで納得するのだろうか。自分の命を軽く考えられていると思われても仕方ない判断。しかし、イーシャスはアーウィンの指示に対して反対できなかった。自分がアーウィンの立場でもそう判断したに違いないからだ。

「……分かりました。歩兵部隊!前に進め!!」

 アーウィンはその様子を見て「すまない」と小さく呟いた。すべての罪は自分が背負う。それがこの部隊を率いる将軍としての自分の役割。全ては少しでも多くの兵士を生かし、そして戦いに勝つ為――
 だが不安要素はあるのは確かである。このまま奇襲が終わる訳が無い。それに歩兵部隊が逃げ出す可能性もある。いくら知将と呼ばれるアーウィンでも、そこまで兵士達の心を掌握できているかと言えばそうではなかった。

「い、いやだ。捨て駒にされるぐらいなら俺は逃げるぞ!」

「お、おれも!」

 前に行かせた歩兵部隊の数名が声を上げて逃げだす。歩兵部隊の隊長が大声で統制を取ろうとするも多くの兵士達が逃走を始めていた。これでは士気云々言っている場合では無くなってくる。アーウィンはそれでも残った兵士達に対し毅然とした態度で指揮を取り森を急いで抜けようと動いた。歩兵部隊の五割以上が逃げ出し、後方にいた兵士達も火で分断されてしまい、五千もいた兵が今では三千ほどに減ってしまった。

「まさかこうなるとはな……」

 残った兵士を見てアーウィンは小さく呟いた。自分の慢心もあるだろう。だが、まさか相手があのような策を取ってくるとは想定していなかった。策略を考えられる人間がいるとは思えない。一度野営予定地で軍を立て直すしかないと考えていた時だった。雨のように矢が降ってきた

「なんだと!?」

「敵襲!?」

 剣で矢を弾きながら驚愕の声を上げるアーウィンとイーシャス。矢が飛んできた方向を見れば、そこにはフェスタリア軍が道を阻むかのように待機していた。矢はこのフェスタリア軍からの物と考えていいだろう。

「まさか、私達がこちら側に来ると読んで兵を配置していたのか!?」

 アーウィンは驚きしかなかった。通常ならこのような配置をする訳が無い。しかも罠を仕掛けていた事から、城の方向へ向かわないようにする為だとアーウィンは判断していた。しかし、目の前にはこちらとほぼ同数とも言える兵を構えたフェスタリア軍がいる。その中央に立っているのは、夜だというのに赤髪を鶏の頭のように立たせた甲冑姿の男――ルーカウス=エーベルハルドだった。

「よお、アーウィン将軍。久しぶりだな」

 気軽に声をかけてくるルーカウス。この男とは使者としてパルハーミエにやってきた際に何度か会った事があるが、戦場で相まみえるのは今回が初めてだった。

「……ルーカウス。ここまで私の動きが読まれているとは思わなかったな」

 唇を噛みしめるアーウィン。ルーカウスがここまで戦術家とは知らなかったアーウィン。今回の策を考えたのは目の前にいるルーカウスだと思うのが自然であろう。しかしルーカウスからは意外な答えが返ってきた。

「いやあ……ユウカちゃんの考えた策はここまで見事に決まるとは思ってなかったんだよなあ、俺も」

「なに?」

 ルーカウスの言葉に反応するアーウィン。ルーカウスではなくユウカなる人物が策を考えた?名前の響きからして女性であるのは分かるが、ルーカウスの言い方からして年はルーカウスより下と考えるべきだろう。だが、そんな策略に優れた女性がフェスタリア国に仕官したという話しは聞いた事が無い。

「まあ、俺らも半信半疑だったけどな。なんせメイドのユウカちゃんが考えた策なんだからさ」

「メイ……ド……だと!?」

 それを聞いたアーウィンとイーシャスは驚きの声を上げるしかなかった。将軍でも軍師でもない、全く戦場に関係の無いメイドが考えた策を実行したというのだから、軍人であれば狂気の沙汰としか思えないだろう。

(もし……もし本当にメイドが考えた策ならば、何処でこのような策を学んだというのだ!?)

 その策を採用したルーカウスの度胸もそうだが、その策を考えたメイドがどこで戦場知識を学んだというのだろうか。

「そいじゃあ……おっぱじめますか!」

 まるで近所を散歩しに行くかのような軽い口調で剣を抜いて自信が乗っている馬の手綱を操り攻めてくるルーカウス。

「くっ……全軍迎え撃つぞ!!」

 兵が疲弊した状況でフェスタリア軍と戦うのは無謀。だが、やられたままではパルハーミエ国の名に傷がつく。それにある程度戦わなければ王の狙いであろう、負け戦の経験というものがあまりないまま逃げる訳に行かない。ある程度、多少の犠牲もやむなしと冷酷な判断とも言えるかもしれない。罵られようがどうなろうが構わない。これが後のパルハーミエ国の繁栄に繋がるというのならどんな汚名も背負う覚悟がアーウィンにあった。

「はあああああ!!!!」

 声を上げて自軍を鼓舞するかのように剣を振るうアーウィン。その剣を軽々と受け止めるルーカウス。それを合図に両軍入り乱れた戦いの火蓋が切って落とされた――



「はじまり……ましたね」

 白い服を身に纏い、弓道用の弓を左手に持っている夕華は少々高い丘からヘリーシャム城の兵士長であるクライブ=ベルティと戦況を見守っていた。クライブと夕華がここにいる理由は、パルハーミエ軍にルーカウスが指揮する本隊が押されるような状況に備えているのが理由だった。二重三重にも策を張り巡らせてはいるが不安は尽きない。

「森の中で戦力を削ぐ事は十二分に出来ているはずですが……やはり撤退という考えは無いようですね」

 どこか悲しげな夕華。出来る事ならば森を抜けた先で待ち構えていたルーカウス達と戦わずに撤退してくれる事を願っていた。その方がどちらの軍も被害が少なくてすむからだ。

「そのようだ。そこはパルハーミエ国きっての知将アーウィン。やられたまま国に帰るわけにはいかないのだろう。?……ユウカ殿、大丈夫か?顔色が優れない様だが」

「え……ああ、大丈夫です、クライブ兵士長。夜だからそう見えるだけですよ」

 と、無理に笑みを浮かべる夕華。それを見てクライブは違和感を覚えたが本人が大丈夫だというのだから、大丈夫という事にしておくのが良いかと判断し戦況を見守る。戦況は思った以上に善戦――いや、押している状況だった。やっとの事で火や罠から逃れてきたのに、森を抜けた先にフェスタリア軍が構えていたというのがパルハーミエ軍の兵士達に大きな動揺を与えていた。
 パルハーミエ軍に大きな動揺を与えた策を考えたのが、隣にいる夕華である事にクライブは改めて疑念を抱いていた。それは――

(いったいどこでこのような策を学んだのだ?)

 そう。夕華はセレナ以外には“記憶喪失の何処にも行く当てが無い少女”という事で通っていた。メイドとして真面目に働いている姿、そして身を挺してまで刺客からセレナを護ったという話しはクライブも聞いている。それはそれだ。記憶喪失の少女がそう簡単にこのような策を提案できる訳が無い。実戦経験が無いのは見ていれば分かるが、このような知識は誰かに学ばなければ身につかない。
 なら何処で夕華は学んだというのか。クライブは戦況を見守る夕華を見る。先程と変わらない青ざめている顔色で戦況を見守っている。よく見れば小さく体が震えていた。その震えが何なのかクライブは分からないが、ただ言える事は夕華が今後フェスタリア国に敵対した時に厄介な相手になるという事だけ。そうならない事を心の中で祈りながら夕華と共に戦況を見守るクライブに、夕華は静かに口を開いた。

「……そろそろ戦いを終わりにしましょう。クライブ兵士長」

 悲しげな口調の夕華に違和感を覚えるクライブ。自分で立案した策がここまで見事に的中したのだから少しは嬉しい様子を見せてもよさそうだが、夕華は先程から悲しげな口調や、顔色が優れていないように見えた。今は気にしても仕方ないと判断したクライブは頷き指示を出す。この戦いを終わらせるもう一つの策を実行させる為に。



「はあっ!!」

「くっ!」

 剣と剣がぶつかり合う音が何重にも響く戦場。ルーカウスの何度目かの攻撃をアーウィンが防いだ。疲労の色が濃く見えるのはやはりというべきか、アーウィンの方だ。肩で息をし、頬には大粒の汗がいくつも流れ落ちていた。それもそうだろう。山を越えてきて罠を逃れ、休む間もなくフェスタリア軍と戦っているのだ。疲れが出てきても何ら不思議ではない。
 だが、疲労が出てきているからと言ってそう易々と負けるようなアーウィンではない。そのような状態だというのに味方を鼓舞しつつ、ルーカウスとほぼ互角の戦いを続けている。ルーカウスもアーウィンの気迫に押されてはいるが、少しは余裕を持って戦っていた。戦況はほぼ膠着状態だというのは両者とも理解していた。両者とも決め手に欠けているのが現状で、アーウィンは撤退しようにも互角の戦いをしている状況で撤退するのを躊躇っていた。だが、その膠着した状況を一変する事態が起きた。

「あ、アーウィン将軍!背後からフェスタリア軍が奇襲のようです!」

「なに!?まだ伏兵がいたのか!?」

 と、戦いながら報告するイーシャス。アーウィンは驚きながら背後を見る。そこには土煙を上げて攻めてきているフェスタリア軍の姿が確かにあった。ルーカウスが引き連れてきた軍勢に比べればかなり少ない兵だが、パルハーミエ軍を更に混乱させるには十分だった。混乱に陥った兵士達が取る行動。それはただ一つ。

「は、挟み撃ち……!に、逃げろおぉぉ!!!」

「これ以上やってられるかよ!」

「ま、待て!敵に背を向ける者がどこにいる!!」

 そう。混乱に陥った兵士達が取った行動――それは逃走だった。下唇を強く噛みしめるアーウィン。アーウィンがここまで見事に相手の術中に嵌った事は無かった。知将と呼ばれているだけあり、相手の策に嵌っても冷静に対応する事によって状況を打破してきたが、今回は冷静に対応する前に次々と策に嵌っていってしまった。それが今回の敗因と言えよう。

「イーシャス!撤退だ!道を開くぞ!」

「はっ!」

 イーシャスに撤退指示を出し、ルーカウスと向き合ったアーウィンは

「ルーカウス将軍、今回の戦いはそちらの勝利だ。だが、私と貴公の決着は次の時つけさせてもらうぞ!」

そう言い残して軍を引き揚げる為に馬を走らせるアーウィン。それを追おうとするフェスタリアの兵士達だったが、ルーカウスがその追撃を止めた。兵士達は「どうして」と不満声を上げた。ルーカウスは肩を竦めて

「深追いして相手の増援がいたらどうするつもりだ。今回は防衛戦という事を忘れるなよ?それに」

「?」

 ルーカウスが前方を見る。それにつられて兵士達がルーカウスの見た方角を見ると、白い衣装に身を包んだ少女が馬に乗り、その馬の手綱をクライブが引いている姿があった。その少女こそ、今回の策を考えた夕華であるのは言わなくてもいいだろう。

「ルーカウス将軍、御無事で」

 ルーカウス達の所にやってきて、クライブの手を借りて馬から降りると同時に口を開いたのは夕華だった。ルーカウスの無事な姿を見て小さく安堵の息を吐いた。ルーカウスは笑みを浮かべ

「ああ、無事だぞ。ユウカちゃんの考えた策のおかげでね」

「そ、そんな事は無いですよ。私の策なんて他の人から見れば未熟かと」

 と謙遜する夕華。今回が初実戦という事もあるが、自分が考え出した策ではなく“過去の軍師達が使用した策を用いただけ”という事もあり、自分の実力ではなく“運の要素”で今回勝てたというのが夕華の本音だった。しかし、そう受け取っているのは夕華だけで、他の人間がどう受け取るかと言えば――

「またあユウカちゃん謙遜だねえ。そういう所が可愛いんだよな」

「ルーカウス将軍……後ほどあの方に説教してもらいましょうか?」

「うげっ。クライブ、それだけは勘弁してくれ」

 とクライブとルーカウスのやり取りで周りにいる兵士達は笑う。先程まで生か死の戦いをしていたとは思えないルーカウス達の様子に、夕華は喉に骨が刺さったかのような違和感を覚えていた。自分の感覚がおかしいのかと疑問に思いながらもルーカウスに

「ルーカウス将軍。私達も兵を退きましょう。万が一に備えて防衛隊を配置してあるとはいえ、パルハーミエ軍が本気で攻めてきたらそう長くは防衛できるような戦力ではありませんから」

 そう。夕華は万が一の事を考え、城に防衛隊として兵を配置していた。しかし、防衛隊と言えどほとんどの主戦力をパルハーミエ軍を迎撃する為に配置していた為、パルハーミエ軍が退いたと思わせて攻めてきた場合、あっという間に陥落するというのが夕華の判断だった。

「そうだな。いったん城に戻り、朝日が出たら状況確認をしに戻ってくる。それでいいかな、可愛い軍師さん?」

 と言ってウインクしてみせるルーカウスに対し、夕華は引き攣った笑みを浮かべるしかできなかった。その二人のやり取りを見ていたクライブは、ルーカウスの思考回路がどうなっているのか考えようかと思ったが、答えが出ないのが目に見えていた為に即座に考えない事にした。そうこうしている間に、フェスタリア軍はヘリーシャム城へと退いた。こうして夕華の初陣は圧勝と言える戦果で終わりを告げた。
 この時、夕華はセレナの故郷を護れたという安堵していたが、それでも過去の偉人達が使用した策とはいえ自分の考えた策で多くの人達を傷つけた。その事実がじわりじわりと夕華の心に重く圧し掛かってきていた。しかし、まだこの時点ではその事――人を傷つけた事―――への実感が無い夕華。それが後で嫌と言うほど実感する事になるとは思ってもいなかった。



「これが……私のした事……?」

 昼過ぎのパルハーミエ国との戦場となった森林だった場所。未だ燃えた木々から白煙が上がる中、夕華は呆然と立ち尽くしていた。それもそうだろう。周囲には炎で焼かれたと兵士達の亡骸が転がっていて、苦しい中必死に生き延びようとして亡くなったのか、右手を伸ばしている姿が夕華の目に入ってきた。
 この風景が、この多くの人達の遺体が、自分が実行した策の結果なのか。セレナの故郷を、みんなを護りたかっただけなのに、ここまで酷い状況を生み出してしまったのか。これではまるで、この世界に来た時に見た光景と同じじゃない――

「……」

 夕華は自分がした事へのショックがあまりに大きく、茫然としていたがフラリと歩き出した。その足取りはあまりにも重く、夕華の顔色も青ざめていた。周囲で消火作業をしていたと思われるフェスタリア国の兵士達は戦いに勝ったからか、とても嬉しそうな声を上げていた。ただ、夕華の耳にその声が届く事はなかった。この悲惨な状況を生み出したという現実が、夕華に嫌というほど重く圧し掛かっていた。
 これでは自分がこの世界に来た時に襲って来た男達と変わらないのではないか。多くの人の命を自分は奪ってしまった。ふと近くに倒れている兵士の遺体と目があった。その目はまるで「お前のせいだ」とでも言っているかのような錯覚を夕華は覚えた。周囲に倒れている遺体達が夕華を責めているような、そんな錯覚。

 今まで戦いとは無縁だった人間が人を殺したという事実に正面から向き合えるかと言えば向き合えないだろう。向き合わずに逃げるという手も存在している事は存在してはいるが、それこそ臭いものに蓋をするというもの。見なかった事にする、無かった事にするというのは死んでいった人への冒涜なのは夕華は辛うじて理解していた。ただ、事の重大さへのショックであまり思考がまとまっていなかった。

「ごめん……なさい」

 立ち止り、亡くなった兵士達へ謝る夕華の目からはいくつもの大粒の涙が零れ落ちた。戦いで人が死ぬ。それは“こちらの世界”では当たり前の事。無論、夕華の“いた世界”でも夕華が知る事の無い場所で戦いは起きていて、多くの人が知らないうちに死んでいる。それが戦いであり、戦いが無かった場所で生活をしていた自分は恵まれていた。それを強く実感する事になった夕華。人を殺したという罪。あまりにも大きい罪に押し潰されそうになっていた夕華に声をかける人物がいた。

「ユウカ!」

 聞き覚えのある声が聞こえた。夕華は後ろを振り返る。そこには長い金色の髪を靡かせた碧眼の銀色に輝く甲冑に身を纏った、フェスタリア国の現王であるセレナ=フェスタリー=フランツィスカが息をきらせて立っていた。パルハーミエ国が攻め込んできているとの知らせを聞いたセレナは、夜通し馬を駆けて首都へ戻り、援軍の準備をしていたブルーノ=ベネディクトと共に兵を連れてヘリーシャムへ急いでやってきた。
 夕華はセレナが自分の所まで駆けてくると同時に、セレナの胸に顔を埋めて泣きながら掠れた声でセレナに自分がした事を話そうとしたが上手く言葉に出なかった。
 それを見たセレナが優しく夕華の頭を撫でながら

「大丈夫じゃ……妾が傍におる」

 と優しい口調で声をかけた。何が大丈夫なのかは言った本人であるセレナは分からなかったが、夕華が無事であった事は勿論だが、フェスタリア国として被害が少なかった事に安堵していた。ただ、夕華がどうして戦場だった場所にいて、白を基調とした服――弓道着の事だ――に身を包んでいるのか分からないセレナ。夕華が落ち着くまで待つしかないと判断し、自分の胸で泣く夕華を優しく撫で続ける。ただ、セレナは一つだけ不安だった。自分以外の夕華を見る目がまた一つ変わるという事を――


次回 二人の戦女神
第十九話「タイトル未定」
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