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愛なき道

オリジナル小説「二人の戦女神」と「リリカルなのはシリーズ」の二次創作を中心に活動中

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学校の後輩と閃光Ⅱ  

 話しはとある三月上旬のある晴れた日のこと――







 その日は、まさに快晴という名に相応しい雲ひとつない日だった。彼女、高宮沙希はいつも通り授業の終わった放課後、図書館へ行って小説を借りて家に帰るところだった。高宮がどの小説を借りようかと選んでいるうちに、時刻は夕方の五時を過ぎており、学校に残っているのは部活をしている生徒と生徒会で会議をしている生徒ぐらいだった。


「?」


 校舎から出て少し歩いた所で、高宮の耳に何かの鳴き声が聞こえてきた。その鳴き声は弱々しくて、まるで何かに救いを求めているようなそんな鳴き声だった。高宮はその鳴き声に導かれるようにフラフラと歩いていく。その足取りはまるで何かに取りつかれたように見え、もし他の生徒が今の高宮の歩く姿を見たら間違いなく幽霊と勘違いして叫んでいるだろう。


「あっ……」


 高宮は鳴き声のしている所を見上げて立ち止まった。高宮の前には一本の桜の木があった。その桜の木の枝に、小さな小さな子猫が体を震わせて鳴いていた。鳴き声の主はこの子猫のようだ。どうやら木に登ったはいいが、降りれなくなってしまったようだ。
 子猫のいる枝は大体地面から十数メートル。かなり高い所まで登ってしまっている。


「どうしよう……先生を呼んでハシゴを持ってくる間に落ちる可能性もあるよね……」


 小さく呟く高宮。子猫のいる枝は他の枝と比べると少し細く、少しでも子猫が動いてしまえば落ちてしまう危険があった。もし、枝から落ちて地面に衝突してしまえば、あの高さだ。小さな命は消えることになってしまう。

 高宮は、数十秒どうするか悩むも意を決して木を登りはじめる。制服が汚れるとは今の高宮は考えてはいなかった。ただ、子猫を助けてあげたい。それしか考えていなかった。

 昔はよく木登りとかしたなと高宮は昔を懐かしみながら十数メートルの高さをスムーズに登っていき、子猫がいる枝が自分の体重で折れないようにと一つ下の枝から手を伸ばす。


「おいで。もう大丈夫だから、ね?」


 優しく子猫に声をかける高宮。しかし、人間の言葉が子猫に通じるわけがなく、子猫はまだ鳴き続けている。何度か高宮は子猫に声をかけるも状況は一向に変化するこはなかった。


「こうなったら……よっと!」


 無理な体勢から右手だけ伸ばして子猫を掴もうとする高宮。膠着状態の現状を打破するにはこれしかないと考えたはいいが、子猫が逃げようとして左足を絵だから踏み外してしまった。


「危なっ……!」


 高宮は枝を文字通り「蹴って」枝から落ちる子猫を空中でなんとかキャッチしてから気付く。

自分の足場であった枝を蹴った=空中にDIVE=落下――


「あ……」


 自分のした行動に間の抜けた声を上げる高宮。直後、自分の体が落下する感覚が高宮を襲う。そして眼前に迫り来る地面。死の恐怖が高宮を襲うも、手の中にいる子猫だけでも助けようと無意識で子猫を抱きしめるように両手を胸にあてる。


(こんな死に方するなんて、私は馬鹿だなぁ……)


 あと少しで頭から地面に衝突する高宮だったが、頭の中は冷静だった。今までの記憶が一気にフラッシュバックするように思い起こされた。これが走馬灯なんだなと冷静な頭で受け止める高宮。


(いっか、私なんて――だから。この猫が無事でいられますように)


 子猫の無事だけを願い来るであろう痛みに目を瞑る。




「――って!」




 声が高宮の耳に入ってきたかと思った直後、誰にかに受け止められた感覚がした高宮。数秒の静寂。高宮は恐る恐る目を開けた。すると、目の前には金色の髪を靡かせた綺麗な真紅の瞳をした生徒がホッとした表情を浮かべて、高宮を御姫様抱っこしていた。


「え――」


 一体何が起きたか理解出来ないで固まる高宮。ただ背中と足に目の前の生徒の手だと思われる温もりと胸元の子猫の温もりが、高宮がまだ生きているということを教えてくれていた。





 その日、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンは図書館で暇を潰して今から帰るところだった。いつもなら友人達と一緒に帰るのだが、今日に限ってはそのなのは達の都合が悪く一人で帰らないといけなかった。なのはとはやては管理局の仕事で一日不在。アリサとすずかは塾の為に早く帰ってしまった。 

 しかも、早く帰った所で家族はフェイトを除いて全員、局の仕事でいないのだから少しぐらい帰りが遅くなっても問題はなかった。(アルフも本局に用があるらしく、不在)


「うーん……夕食どうしよう」


 夕食が一人というわけでフェイトはどうするか悩んでいた。案としては翠屋に行って何か食べて終わりにするというのが一つ。カップラーメン等で終わりにするのが一つ。最後に、食べないでさっさと寝てしまうというのが案にあった。が、最後の食べないで寝るというのは不健康すぎるよね、と即座に案から削除する。


 それと同時に、カップラーメンは怒られるからやめておこうと判断して、先ほどと同じく案から削除するフェイト。残るは翠屋に食べに行くという案だが、自分で作ってもいいよねと考えに至り、塩鮭焼いて野菜サラダを作ろっかなと考えていたら何か鳴き声がフェイトの耳に入った。


「今の鳴き声……猫?」


 どっちの方向かなと周囲を見渡すフェイト。どこで鳴いているんだろうと思いつつ少し駆け足で鳴き声のする方向へ向かう。そしてたどり着いた場所は、学校の中庭に咲いている一本の古い桜の木。

 その桜の木を見上げると、小さな子猫が体を震わせて鳴いているのが見えた。それと同時にその下の枝から必死に右手を伸ばしている黒い髪のフェイトと同じ制服姿の少女が視界に入った。何度か子猫に呼びかけているけども、子猫は逆に怖がっている様子をみせていた。

そして次の瞬間、子猫が枝から足を踏み外して落下――


「危ない!」


 フェイトは子猫を助けようと走る。間に合うかどうかギリギリのところだが、木に登っている少女がとんでもない行動をとった。「トン」という音がしたかと思ったら少女の体が宙を飛んで、落下していた子猫を空中でキャッチしていた。

 子猫をキャッチをしたはいいが、後は重力によって落下するしかない少女は猫を胸元で抱きしめて目を瞑った。

 落下が早いか、フェイトが間に合うのが先か――かなり際どいタイミング。


「間に合って!」


 落下している少女を助けようとフェイトは両手を伸ばす。ギリギリのところだった。フェイトの両手に少女の体が入り、地面と激突をするという最悪の事態は避けられた。ホッとした表情を浮かべてフェイトは息を吐く。


「え――」


 腕の中にいる少女が恐る恐る目を開けて、その光景を目にして固まる。それもそのはず。少女がフェイトにされている抱き方が俗にいう「御姫様抱っこ」というものだからだ。お互い見つめるように目が合うも沈黙。ただ子猫が小さく「ニャー」と鳴いていた。





「……と、いうことがありまして、私はフェイトお姉さまと出会ったわけなのですよ」

「そうやったんか」

「あ、だからあの日の夜に私に電話してきたんだね、フェイトちゃん」


 と、塾から帰ってきた直後にフェイトから「子猫を預かって欲しい」と電話がかかってきたすずかが納得した様子をみせた。


「う、うん。ごめんねすずか」


 色々と家庭事情が複雑なフェイト。そもそも家に犬(他のクラスメイトにはそう説明しているが元狼の使い魔、アルフのことだ)がいる時点で飼えない。となれば、家が猫屋敷になっているすずかを頼ってみようとなったわけだ。


「ううん、大丈夫だよ。他の猫も歓迎してたから」


 と、現在もあの子猫を預かっていると言うよりも飼っているすずか。あの後にフェイトは何度かすずかの家に行って、子猫の元気な姿を見てよかったと思っていた。


「ねえ、フェイトちゃん」

「なにかな、なのは?」


 いつもより少しだけ声のトーンの低いなのはに首を傾げるフェイト。高宮がフェイトのその仕草を見て暴走のあまり抱きつこうとするもアリサによって止められていた。


「御姫様抱っこって本当なの?」

「え……あ、うん」


 なのはの異常な気迫に押されるようにしてコクコクと頷くフェイト。するとなのははフェイトに抱きついて、フェイトの耳元で小さく囁いた。


「私もしてほしいな……お姫様抱っこ」

「え、ちょ……なのは?」

「あー!!高町先輩ズルイですぅ!!私も!」


 と正面から抱きついたなのはに対して後ろから抱きつく高宮。それを見て「え、え?」とあからさまに狼狽えるフェイト。その様子を少し遠くから微笑ましそうに見守るアリサ達三人。今日も色々と騒がしいが、海鳴市はいつも通り平和だった――
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